グローバルな経済社会情勢の変化に伴い、国家の安全保障は従来の外交・防衛分野中心の概念から、経済・情報分野も取り込んだ包括的な概念へと急速に拡大しつつあります。これは過去10年に及ぶ、AI(人工知能)に代表されるような革新的な技術の進化と、軍事・民生両面で利用されるデュアルユース技術の急速な比重拡大、経済・情報自体を国家戦略として位置付ける大国の新たな思考などが背景にあるといえましょう。
一方、2020年からは新型コロナウイルス感染症のパンデミックの災禍を契機に、半導体や医薬品など重要物資の確保について社会的要請が増大しました。さらに、22年2月のロシアのウクライナ侵攻以降、昨今の中東情勢の再燃に至るまで、国際秩序の急激な変化はエネルギーや食料のみならず、あらゆる分野でサプライチェーンへの深刻な懸念をもたらしています。東アジア情勢の緊張も相まって、特に「選挙イヤー」とも言われる本年は、各国にとって経済安全保障が不可避かつ喫緊の課題となっています。
わが国では22年5月、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(経済安全保障推進法)」が成立し、先進各国に先立ち具体的な施策が打ち出されています。米国と中国の覇権争いも行く末が不透明な中で、今後の日本の国益を考えるに当たり、セキュリティ・クリアランス制度の導入に期待されるような企業ガバナンスにも資する具体的な対策を、企業の規模に関わらず講じていく必要があります。
本催事「エコノセック・ジャパン」では、最新の情報発信と今後想定される事案への多角的な対処を企図するカンファレンスおよび展示会等の定期的な開催を通じ、産業各界に対する意識啓発と経営戦略における対策検討の促進を図ります。併せて、安全保障とビジネスの結節点として、官民の連携を促すとともに、主に企業経営層のための情報交換・交流の機会を創出する場を目指し、もってわが国の産業各界の国際競争力に資する社会環境の醸成に寄与することを目的とします。